ソムリエ/ワインエキスパート試験対策について、教本の出題ポイントをまとめています
昨年度からの変更点や、頻出箇所などポイントを抑えて解説します
最後に確認問題を掲載してありますので、理解度の確認に使用してください!
昨年からの主な変更点
スペインの主な変更点
- プロフィールの、2022年のスペインワイン輸出状況の記載更新【P.433】
- 2022年ヴィンテージ情報更新【P.433】
- シェリーの気候風土の説明文一部追記改訂(レバンテは太陽が~高温で乾燥した西風になる)【P.464-465】
- シェリーの[造り方:ごく甘口ワイン]の説明文一部追記改訂(モスカテルとペドロ・ヒメネスいずれかの~天日干ししない場合もある。)【P.465】
- シェリーの[タイプ]で、Dulceの説明文改訂【467】
- D.O.マラガの説明文一部追記(完熟ブドウを完全発酵させてつくる辛口と、)【P.467】
スペインはヴィンテージ情報の更新と、シェリーの記載が数か所追記改訂されています。
シェリーは頻出のため、改訂部分を含め、しっかり押さえておきましょう!
ポルトガルの主な変更点
- プロフィールのヴィンテージに関する記載が更新(2022年のPortoとDouroは、~フレッシュ感とストラクチャーがある。)【P.751】
ポルトガルはヴィンテージ情報の更新がされています。
頻出のポルトやマデイラなどを中心に、しっかり頭に入れておきましょう!
スペイン
スペイン概要
✅ワイン用ブドウ栽培面積(世界1位、EUの30%を占める)
✅ワイン生産量(世界3位)
✅スペイン最大の栽培面積(48%)と生産量(53%)はカスティーリャ・ラ・マンチャ州
✅D.O.P.数は合計101(68D.O.、2D.O.Ca.、7V.C.、24V.P.)
✅2022年のワイン輸出量(世界2位)、輸出額(世界3位)
✅2022ヴィンテージ情報
・収穫は典型的な年と比べて2週間早く始まる異常な年だったが、品質と収穫量は予想よりも良かった
・収穫量は2021年とほぼ同じ量に達すると予想
各統計量の世界順位は近年変更があったため、覚えましょう
また、最新のヴィンテージ情報は概要を押さえておきましょう
歴史
✅B.C.1100年頃 フェニキア人が最初にワイン造りをする
✅B.C.200年頃 ローマ人がワイン造りを広めた
✅1986年 欧州経済共同体(EEC)加盟
気候風土
✅Mesetaと呼ばれる中央台地
主なブドウ品種
✅白ブドウ
・1位:アイレン(白ブドウの栽培面積の45%を占める)
・2位:マカベオ(ビウラ@リオハ)
・3位:ベルデホ
✅黒ブドウ
・1位:テンプラニーリョ(全ブドウ品種としても1位、全ブドウ品種の栽培面積の21%を占める)
【Tempranillo のシノニム】
Cencibel@ラマンチャ
Tinto Fino、Tinta del Pais@リベラ・デル・ドゥエロ
Ull de Llebre@ペネデスなどカタルーニャ州
Tinta de Toro@トロ
Tinta de Madrid@マドリッド
・2位:ガルナッチャ・ティンタ(フランス名グルナッシュ)
・3位:ボバル
✅2000年以降に栽培面積が最も増えた品種
・テンプラニーリョ(2021年にアイレンを超え全ブドウ1位となった)
・ガルナッチャ・ティントレラ(フランス名アリカンテ・ブシェ、果肉が赤いのが特徴)
・ベルデホ
✅その他注目品種
・モナストレル(黒ブドウ5位、フランス名ムールヴェードル)
・カリニェナ(フランス名カリニャン、マスエロ@リオハ)
・アルバリーニョ@ガリシア州
スペインのブドウ品種は頻出なのでしっかり覚えておきましょう!
特にブドウ品種全体の順位が変動しています(テンプラニーリョ、ガルナッチャ・ティントレラ)。また、シノニムも必ず覚えるようにしましょう
ワイン法
✅1932年制定→1933年発効 ※フランス(1935年)より早い!
✅スペインの伝統的呼称のカテゴリー表とEUの分類との関係性
・Vino de la Tierra:EUのI.G.P.や、フランスのヴァン・ド・ペイと同じ。2006年に承認されたViñedos de Espanaもこのカテゴリーに含まれる。現在42が認定
・Vino de Calidad con Indicatión Geográfica(V.C.):地域名付き高級ワイン。現在7つのV.C.あり
・Denominación de Origen(D.O.):スペイン高級ワインの中核的カテゴリー。2つの例外あり(シェリー、カバはD.O.表記不要)。現在68が認定
・Denominación de Origen Calificada(D.O.Ca.):特選原産地呼称ワイン。リオハ(1991年)、プリオラート(2009年)の2つ
・Vino de Pago(V.P.):単一ブドウ畑限定ワイン。地域ではなく単一ブドウ畑&収穫ブドウで造られたワイン。現在24のV.P.あり
・Vino de Pago Calificado(V.P.C.):V.P.がD.O.Ca.地域に重なる土地の場合Vino de Pago Calificadoと表示可能。現在まだ存在しない
✅2023年6月現在、101のD.O.P.が認定
✅熟成規定
・Crianza:赤24ヶ月(樽熟成6ヶ月)、白/ロゼ18ヶ月(樽熟成6ヶ月)
・Reserva:赤36ヶ月(樽熟成12ヶ月)、白/ロゼ24ヶ月(樽熟成6ヶ月)
・GranReserva:赤60ヶ月(樽熟成18ヶ月)、白/ロゼ48ヶ月(樽熟成6ヶ月)
D.O.P.カテゴリーと、認定数は必ず覚えましょう!
また、熟成規定は頻出です
✅有機栽培のブドウ畑面積が世界最大
・Vino Ecológico(オーガニックワイン)
・約14万haの有機栽培ブドウ畑は世界最大(1位:カリティーリャ・ラ・マンチャ州)
有機栽培の項は近年追加箇所となります!
カバD.O.
✅瓶内二次発酵による生産されるスパークリングワインのD.O.
✅カバはカタルーニャ語で「洞窟」を意味する
✅原産地呼称だが、特例として異なる州や産地にも認定生産地域がある
✅生産量の95%がカタルーニャ州、同州のサン・サドゥルニ・ダノイヤでその85%が生産
✅歴史
・Josep Raventós Fatijóがシャンパーニュ地方で技術を学び、醸造機器を持ち帰り、1872年に瓶内二次発酵製法によるスパークリングワインの商業生産に成功
・1972年にスペイン産のスパークリングワインの呼称としてカバが承認
・1986年にカバがD.O.に認定
・2020年にカバD.O.委員会が認定生産地域のゾーン分類と新たな熟成表示を発表
✅主要ブドウ品種3種
・マカベオ(フルーティな味とさわやかさ)
・チャレッロ(酸味をもたらす)
・パレリャーダ(花のような香り)
✅Cava de Paraje Calificado
・樹齢最低10年以上
・熟成期間最低36ヶ月
・単一収穫年のヴィンテージ・カバのみ
・2023年現在、8のパラへ(畑)と10のカバ・デ・パラヘ・カリフィカードが認められている
✅熟成表示
・Cava de Guarda(瓶貯蔵・熟成期間:9ヶ月以上、認証シールは緑色)
・Cava de Guarda Superior(2025年までにオーガニック栽培されたブドウを100%使用)
>Reserva(瓶貯蔵・熟成期間:18ヶ月以上、認証シールは銀色)
>Gran Reserva(瓶貯蔵・熟成期間:30ヶ月以上、認証シールは金色)
>Cava de Paraje Calificado(瓶貯蔵・熟成期間:36ヶ月以上)
✅統合的生産者スタンプ
・Elaborador Integral(ブドウの圧搾から醸造までを100%自社で行う生産者を認めるスタンプ)
カバは頻出箇所です!
生産地域とその割合、歴史、ブドウ品種、熟成表示などを中心に押さえていきましょう
その他のスパークリングワイン
✅Corpinnat
・「ペネデスの心臓部に誕生」を意味
・カバD.O.生産者が興した生産者協会(AVEC)が取得した登録商標
・カバD.O.の規定よりも厳しい生産条件を課す(100%オーガニック栽培のブドウを手摘み、100%自社で醸造、最低瓶熟成期間18ヶ月以上など)
・2023年現在11生産者がAVECに加盟(カバD.O.からは脱退)
✅Vino Espumoso de Calidad(上級スパークリングワイン)
・瓶内二次発酵によるスパークリングワイン(例:クラシック・ペネデス)
✅Vino de Aguja
・地中海沿岸地方で多くが造られてきた弱発泡性ワイン
北部地方
リオハD.O.Ca.
✅首都マドリッドの北北東
✅エブロ川
✅1991年にスペインで最初のD.O.Ca.を獲得
✅3つのサブゾーン【テキスト地図】
・Rioja Alta(全栽培面積の50%、最も西部に位置、高い酸度を持つ熟成向きの赤ワイン)
・Rioja Alavesa(エブロ川左岸、若飲みタイプから熟成向きまでの赤ワイン)
・Rioja Oriental(エブロ川下流の両岸、ガルナッチャの栽培多い、アルコール濃度の高い赤ワインとロゼワイン)
✅伝統的にはアメリカンオークが使用され、白ワインも樽熟成を行う
✅赤ワインが約88%を占める
✅リオハの規則改定
1)熟成期間(Crianza、Reserva、Gran Reserva)
2)新たな原産地表示(表示する原産地のブドウを100%用いた場合に以下の表示が可能)
・Vinos de Zona(Rioja Alta, Rioja Alavese, Rioja Orientalの3ゾーンがある)
・Vinos de Municipios(ブルゴーニュの村名ワインのようなもの、144ある)
・Viñedos Singulares(ブルゴーニュのリュー・ディのようなもの、133ある)
3)Espumoso de Calidad(上質スパークリングワイン:瓶内二次発酵、瓶貯蔵熟成期間15ヶ月、レゼルバは24ヶ月、Gran Añadaは36ヶ月)
リオハはスペインで最も重要な産地のひとつです
サブ・ゾーンの地図上の位置や、リオハの規則改定も要チェックです!
リオハの規定改訂はポイントを押さえて覚えるようにしましょう
ナバーラ州
✅Navarra D.O.
・ナバーラブレンド=在来品種(テンプラニーリョ)+外来品種(カベルネ・ソーヴィニヨンなど)
✅4つのV.P.(単一ブドウ畑限定ワイン)あり
アラゴン州
✅Campo de Borja D.O.
・栽培面積の70%近くをガルナッチャが占め、「ガルナッチャ王国」と称される
✅Cariñena D.O.
・黒ブドウ品種カリニェナの原産地(フランスではカリニャン、アラゴン以外のスペインではマスエロと呼ばれる)
✅Calatayud D.O.
・地名は、かつてのイスラム教徒の城「カラト・アユブ」に由来
✅Somontano D.O.
・ソモンターノは「山麓」を意味する
バスク州
✅3つのチャコリのD.O.(チャコリ:微発泡性の辛口、酸味が強く、アルコール度数が低いワイン)
・Chacoli de Getaria D.O.
・Chacoli de Bizkaia D.O.
・Chacoli de Álava D.O.
ナバーラ州はナバーラブレンド
アラゴン州は各D.O.のキーワード
バスク州は3つのチャコリのD.O.を持つ州であること
を押さえておきましょう!
大西洋地方
ガリシア州
✅Rías Baixas D.O.
・リアスは「入り江」、バイシャスは「下部や南部」を意味する
・ミーニョ川
・96%がアルバリーニョ
・ラベルに「アルバリーニョ」を表記する場合はこの品種を100%使用すること
・「海のワイン」と称される
✅Valdeorras D.O.
・「黄金の谷」を意味
・ガリシア州のワイン産地で一番内陸に位置する
✅Ribeira Sacra D.O.
・「聖なる川岸」を意味
✅Monterrei D.O.
・ガリシア州最南部
✅Ribeiro D.O.
・白ワインが90%を占める(トレイシャドゥーラが代表的)
・トスタド(リベイロ特産の、乾燥ブドウから造る甘口ワイン)
リアス・バイシャスD.O.は頻出です!
その他のD.O.はガリシア州のD.O.であることを押さえましょう
カタルーニャ州
✅テンプラニーリョのシノニム:Ull de Llebre
✅Priorato D.O.Ca.
・2009年にD.O.Ca.認定
・地質は主にLlicorella(スレート)
・12のサブ・ゾーンが認定
・地元品種カリニェナとガルナッチャを生かしたモダンスタイルの高品質ワインを生産
・プリオラートの新格付け
①Vi de Vila(ブルゴーニュの村名ワインにあたる。12サブ・ゾーンが認定)
②Vi de Paratge(ブルゴーニュのリュー・ディにあたる。認定された単一畑)
③Vinya Classificada(ブルゴーニュのプルミエ・クリュのようなもの。認定された単一畑)
④Gran Vinya Classificada(ブルゴーニュのグラン・クリュのようなもの。認定された単一畑において伝統的方法で栽培されること)
・Velles Vinyes(古木畑)の表示は、樹齢75年以上または1945年以前に植樹されたブドウ樹のブドウを用いたワインに表示できる
✅Penedés D.O.
・瓶内二次発酵のエスプモソ(スパークリングワイン)は2015年から「クラシック・ペネデス」という呼称になり、瓶内貯蔵・熟成期間は15ヶ月以上。100%有機栽培ブドウの使用が義務付け
・ペネデスD.O.委員会は2022年新カテゴリーを承認
>Vino de Masía (Vi de Mas):樹齢は最低10年以上
>Gran Vino de Masía (Gran Vi de Mas):樹齢25年以上
※マシアはフランスのドメーヌのようなもの
✅Montsant D.O.
・2001年にタラゴナD.O.から独立
・プリオラートD.O.Ca.を馬蹄形状に囲む
✅Terra Alta D.O.
・州最南部に位置
・スペインのD.O.P.ワインの中で初めてのオレンジワインカテゴリーが承認(名称:Vins Brisats)
・白ワインでガルナッチャ・ブランカ100%で造られるものに「Garnatxa Blanca100X100」の呼称が認められる
✅Empordà D.O.
・州最北端
✅Tarragona D.O.
・生産量の70%が白ワイン
・Vimblanc(天日干ししたブドウから酒精強化せずに造る伝統的な甘口ワイン)
✅Cataluña D.O.
・カタルーニャ州の10のD.O.とD.O.Ca.およびカバD.O.の認定地域を含む、州のほぼ全域を産地に包括するD.O.
・Catalunya Vinyero(自社畑産ブドウ100%から造られるワインに認められた表示)
・Vi de Finca:カタルーニャ州独自のカテゴリーで高評価を獲得している単一畑ワイン(14の単一畑ワインが承認)
プリオラートD.O.Ca.は必ず覚え、その他重要な上記D.O.はカタルーニャ州のD.O.であることと、黄色下線部分は覚えるようにしましょう
バレンシア州
✅地方料理:Paella
✅Alicante D.O.
・モスカテル・デ・アレハンドリアから造られる酒精強化ワイン(モスカテル・デ・アリカンテ)が有名
・Fondillon(過熟させ遅摘みしたモナストレルから造る。ソレラ方式で最低10年熟成)
ムルシア州
✅Jumilla D.O.
・カスティーリャ・ラ・マンチャ州とまたがる
・主要品種はモナストレル
内陸部地方
カスティーリャ・イ・レオン州
✅大部分が標高のある北部メセタ上に広がる
✅ドゥエロ川沿いに代表的なワイン産地がいくつかある
✅Ribera del Duero D.O.
・2000年のワイン造りの歴史を持つ
・1980年代に入るまで、ボデガ、ベガ・シシリアが孤高の存在だった
・1982年D.O.に認定→ボデガ・ティント・ペスケラをはじめ世界的名声を得る生産者が増える
・ドゥエロ川に沿ってブドウ畑がある
・大陸性気候
・赤とロゼにD.O.が認められていたが、2019年ヴィンテージから白ワインも認められた
✅Rueda D.O.
・ベルデホとソーヴィニヨン・ブランから造られるスペインの代表的な白ワイン産地
・Rueda Dorado(伝統的な酸化熟成タイプの酒精強化ワイン)
・Rueda Espumoso(瓶内二次発酵スパークリングワイン)
・ルエダの新規定(白ワインの呼称をすべてルエダのみに統一、2020年ヴィンテージから以下の呼称・表示を認めた)
①Vino de Pueblo(村名ワインと同じ)
②Gran Vino de Rueda(樹齢30年以上のブドウを用い、最大収量が6,500kg/haのワイン)
③Rueda Espumoso Gran Añada(スパークリングワイン、最低瓶熟成期間36ヶ月以上)
④Rueda Pálido(酒精強化ワイン、最低3年間オーク樽でフロールの下で熟成)
✅Toro D.O.
・ティンタ・デ・トロ=テンプラニーリョ
✅Bierzo D.O.
・メンシアから造られる赤ワイン
・ビエルソの地理的階層(2019年ヴィンテージより実施)
①Bierzo D.O.(地方呼称、以下②~⑤はこの地方呼称と併記する)
②Vino de Villa(村名ワインのようなもの)
③Vino de Paraje(リュー・ディのようなもの)
④Viña Clasificada(プルミエ・クリュのようなもの)
⑤Gran Viña Clasificada(グラン・クリュのようなもの)
カスティーリャ・イ・レオン州には重要なD.O.が多くあり、中でもリベラ・デル・ドゥエロは頻出です!
重要D.O.は地図上の位置も覚えるようにしましょう
また、ルエダの新規定とビエルソの地理的階層は最近追加された事項のため、概要を理解しておきましょう!
マドリード州
✅スペインの首都マドリードがある
✅Vinos de Madrid D.O.
・Sierra de Gredos(新世代の生産者たちがガルナッチャ古木から造る高品質ワイン)
カスティーリャ・ラ・マンチャ州
✅マンチャは「水のない土地」を意味する
✅ドンキ・ホーテの名著が生まれる
✅Queso Manchego(スペインを代表するチーズ、羊乳、非加熱圧搾)
✅センシベル=テンプラニーリョ
✅La Mancha D.O.
・単一の原産地呼称では世界最大の広さ
・白ワイン(アイレン)、赤ワイン(センシベル)
・Dominio de Valdepusa V.P.(2003年にスペイン初のビノス・デ・パゴに認定)
✅Manchuela D.O.
・夏の夜にはViento Solano(地中海で発生し、東から西へ吹くLevantのこと)と呼ぶ涼しく湿度のある風を受け夜間気温が下がる
・新たにVino de Hielo(アイスワイン)のタイプが承認
カスティーリャ・ラ・マンチャ州は頻出の州のため、ポイントを押さえて全体的に広く押さえておきましょう!
マンチュエラD.O.のアイスワインは近年追記事項です
エストレマドゥーラ州
✅Ribera del Guadiana D.O.
・同州唯一のD.O.
南部地方
アンダルシア州
✅Jerez-Xérès-Syerry y Manzanilla – Sanlúcar de Barrameda D.O.
・白ブドウから造られる酒精強化ワイン(シェリー)
・大西洋から吹く低温高湿のPonienteという風と、内陸から吹く高温低湿のLeventeという風が、ブドウの成熟、ワインの熟成に影響
・レバンテ:「太陽が昇る方向」を意味。地中海で発生し、西に向かって吹く
・ポニエンテ:「太陽が沈む方向」を意味。大西洋で発生し、内陸に向かって吹く
【土壌】
①Albariza:炭酸カルシウムを25%以上含む真っ白な石灰質土壌
②Barro:アルバリサより粘土と砂を多く含む
③Arena:石灰分の含有量が20%以下で海岸地域に多い土壌
【使用ブドウ品種】
・パロミノ、モスカテル、ペドロ・ヒメネスの白ブドウ主要3種(約95%を占めるパロミノですべての辛口タイプが造られる。モスカテルとペドロ・ヒメネスはごく甘口用)
・いくつかの伝統的な白ブドウ品種も認められている
【造り方(辛口)】
①パロミノから辛口ワインを造る
②11月以降まで安定させると、フロール(産膜酵母)が発生(フロールが酸化を防ぐ役割)
③Fino(フロール下で酸化せず熟成、酒精強化15%)かOloroso(フロールを消して酸化熟成、酒精強化17%)のいずれかに分類→Sobretabla(熟成システムに入る前段階)
④フィノタイプはその後2つに分かれる
(1)フィノ:そのままフロール下で熟成
※フィノとして数年間熟成後、意図的な酒精強化、もしくは自然消滅でフロール消失後に酸化熟成したもの→Amontillado
(2)Palo Cortado:フロールの状態が変化し、酸化熟成タイプと判断→酒精強化し17%へ
⑤いずれもCriaderaとSoleraのシステムで熟成
【造り方(ごく甘口)】
①基本的に天日干ししたモスカテル、ペドロ・ヒメネスから果汁を搾り発酵させる
②発酵途中(初期)に酒精強化して甘さを残す
③辛口シェリーと同じ方式で樽熟成
【熟成】
・600Lのアメリカン・オーク樽使用
・Sistema de Criaderas y Solera(クリアデラとソレラのシステム)(教本の図)
>アンダナ:樽を段積みしたブロック
>サカ:ボトリング用のワインの出荷
>ソレラ:一番下の段
>第一クリアデラ:下から二番目の段
>第二クリアデラ:さらに上の段
>ロシオ:上の段から目減り分を補充すること
【熟成地】
・これまで熟成地はJerez de la Frontera、El Puerto de Santa Maria、Sanlúcar de Barramedaに限定されていたが、他の生産地域も熟成地として認定されるが、認定地域は西経5°49′以西、北緯36°58’以南に限られる)
・例外規定→Manzanilla:サンルーカルで熟成されるフィノ
【辛口タイプ(Vino Generoso)】
・Fino:アルコール度15〜17%、淡い麦わら色
・Manzanilla:サンルーカルで熟成されたフィノ、アルコール度15〜17%、淡い麦わら色、カモミール香
・Amontillado:フロール下で熟成後に酸化熟成、アルコール度16〜22%、琥珀色
・Oloroso:酸化熟成タイプ、アルコール度17〜22%、琥珀色からマホガニー色、フルボディ
・Palo Cortado:短期間フロール下にあり、その後酸化熟成、アルコール度17〜22%
【中間の甘さタイプ(Vino Generoso de Licor)】
・Palle Dry:アルコール度15〜22%、残糖4~45g/L、淡い黄色〜金色、フロール下で熟成したワインをベース
・Pale Cream:アルコール度15〜22%、残糖50~115g/L、淡い黄色〜淡い金色、フロール下で熟成したワインをベース
・Medium:アルコール度15%〜22%、残糖4~115g/L、琥珀色〜マホガニー色、フロール下で熟成と酸化熟成を経たワインをベース(Medium Dry:残糖50g/Lまで、Medium Sweet:残糖Medium Dry以上)
・Cream:アルコール度15%〜22%、残糖115~140g/L、濃い琥珀色〜マホガニー色、酸化熟成したワインをベース
【ごく甘口タイプ(Vino Dulce Natural)】
・Moscatel:アルコール度15%〜22%、残糖160g/L以上、天日干しした同名のブドウを85%以上使用(天日干ししない場合もあり)
・Pedro Ximénez:アルコール度15%〜22%、残糖212g/L以上、天日干しした同名のブドウを85%以上使用
・Dulce:上記2タイプ以外の条件で認定品種から造られた極甘口
【ラベル表示】
・en rama:清澄も冷却処理もしていないワイン
・pago:パゴ(独自のテロワールを持つ伝統的な区画)として認定されている畑で栽培されるブドウを85%以上使用した製品
【特別なカテゴリー】
①Fino Viejo とManzanilla Pasada :最低熟成期間7年以上のフィノとマンサニーリャ
②熟成期間認定シェリー:12年以上熟成、15年以上熟成、20年以上熟成(V.S.O.)、30年以上熟成(V.O.R.S.)
③Añada(シングルヴィンテージ・シェリー):クリアデラとソレラのシステムではなく単一収穫年のワインを同じ樽で長期間熟成
シェリーは生産地、熟成地、生産工程、様々なタイプなど頻出箇所です!
造り方の違いによるタイプ分けは複雑で覚えにくいので、テキスト以外の情報も使用して、まとめ直してみると理解が深まります
✅Málaga D.O.
・シェークスピアの時代にSackと呼ばれて、もてはやされたワインの1つ
・Pasas de Malaga(モスカテル・デ・アレハンドリアを天日干しして造る甘口ワイン)は、マラガD.O.と併記せず単独のD.O.として呼称表示可能
✅Montilla-Morlies D.O.
・土壌はアルバリサ
・シェリーと同じように様々なタイプのワインができ、ソレラシステムで熟成される
諸島
バレアレス諸島
✅マヨルカ島を含む4島と小島や岩礁からなる
✅Binissalem D.O.
✅Pla i Llevant D.O.
カナリア諸島
✅ランサローテ、グラン・カナリアなど7島からなる
✅スペイン最高峰のテイデ山
✅フィロキセラの被害なし→現在も接ぎ木なし、自根のまま栽培
✅Lanzarote D.O.
・島全体がD.O.の認定地域
・緑に火山礫を並べたクレーター状の穴の中に樹を1本ずつ植える独特な栽培方法(Hoyosと呼ぶ穴、Zanjasと呼ぶ溝、Abrigoと呼ぶ低い壁)→年中吹く強風やアフリカ大陸のサハラ砂漠から吹いてくる熱風を防ぐ効果あり(以下写真)
✅El Hierro D.O.
・カナリア諸島最西端の火山島
✅Gran Canaria D.O.
・ブドウ品種は白のリスタン・ブランコや黒のネグラモルなどがD.O.として認められ、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シラーなどの国際品種はD.O.としては認められていない
ランサローテD.O.の独特な栽培法については、各用語が近年追記されています
ポルトガル
ポルトガル概要
✅イベリア半島の西側
✅世界のコルクの約半分が生産されている(世界最大のコルクメーカーであるアモリン社が有名)
✅ポルト、マデイラはシェリーとともに世界三大酒精強化ワイン
✅2022年は前年に比べブドウ収量が10%以上少なかった
歴史
✅B.C.600〜500年頃 フェニキア人によりワインの歴史が始まる
✅ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路発見→日本との南蛮貿易→織田信長が好んだ珍陀酒はポルトガルの赤ワインとされる
✅2020年:ポルトにWorld of Wineという名の文化施設が造られる
主なブドウ品種
✅白1位:フェルナォンピレス
✅黒1位(全体1位):アラゴネス(=ティンタ・ロリス/テンプラニーリョ)
✅産地別D.O.P.ワイン栽培面積(1位:ドウロ、2位:ミーニョ)
ワイン法
✅1756年 ポルトを対象に原産地呼称管理法を導入(世界初)
✅D.O.P.:原産地呼称保護(D.O.C.の表記も可)
✅I.G.P.:地理的表示保護(Vinho Regionalの表記も可)
✅Vinho:地理的表示のないワイン
✅Reserva(伝統的表記として認められている呼称):アルコール度数が地域の法定最低度数より0.5%以上高い
北部
ミーニョ
✅ポルトガルのブドウ収穫量の1/8、栽培面積の14%を占める
✅Vinho Verde D.O.C.
・ヴェルデは「緑」、「若々しさ」という意味
・白が大半を占める
・9つのサブリージョン
ミーニョは頻出です
トランスモンターノ
✅地方料理と食材
・Chouriço(スモークソーセージ)
・Salpicão(スモークハム)
・Cabrito Assado(薪窯でローストした仔山羊)
ドゥリエンセ
✅ポルトとドウロの産地は、ドウロ川下流から上流に向かって、以下の3つに区分
①Baixo Corgo(面積は最も小さいが、ブドウ栽培面積占有率は最も高い)
②Cima Corgo(高品質ワイン生産において重要)
③Douro Superior(最も上流)
上記区分は地図上の位置も確認しておきましょう
✅Porto D.O.C.
・世界三大酒精強化ワインの1つ
・ポルトはポルトガル第2の都市
【生産方法】
・樹齢が5年に満たない樹のブドウはポルトの生産に使用できない
・カダストロ(土地台帳)に基づくポイント制度で6段階に区分
・ポルトワインの代表的生産品種:トウリガ・ナショナル、ティンタ・バロッカ、トウリガ・フランカ、ティンタ・ロリス、ティント・カォン
・一般的な赤ワインの醸造に比べ醸しの時間が短い(かつては人の足でブドウを踏み潰す手法→色素やタンニンを効率よく抽出可能)
・短期間の醸しの後、発酵中の液を抜き、それに77%のグレープ・スピリッツを添加
・5段階の甘さ(エクストラ・ドライ<ドライ<セミドライ<スイート<ヴェリー・スウィート)
・アルコール度数19度〜22度、ただしライト・ドライ・ホワイト・ポルトは最低16.5度までOK
・レッドポルト(黒ブドウを原料)とホワイトポルト(白ブドウを原料)に大別
・レッドポルトは、ルビータイプとトウニータイプに分類
【タイプ、規定】
①ルビータイプ:平均3年間の樽熟成後に瓶詰めされる若いタイプのポルトワイン
★Ruby Reserve Port:毎年品質の高いワインをブレンド
★Crusted Port:販売まで最低3年間熟成される
★Late Bottled Vintage Port (L.B.V.):収穫から4年目3~9月にI.V.D.P.(ドウロ&ポルトワイン・インスティテュートに申請、瓶詰めは4年目7月〜6年目年末
★Vintage Port:収穫から2年目7月〜3年目6月に濾過せず瓶詰め。デカンタージュ必要
★Single Quinta Vintage Port:2つのタイプあり
1)Vintage Portで申請されなかった、良年の単一畑のブドウから造られるタイプ
2)飲み頃に成るまでシッパーによって熟成されるタイプ
②トウニータイプ:小さい樽で熟成させるなどして酸化が進んだトウニー(黄褐色)のワイン
★熟成年表記トウニー・ポルト:長い年月熟成。10年、20年、30年、40年もの
★Colheita:収穫年表示ポルト。収穫から3年目に申請、瓶詰めは7年後から行う
★Garrafeira Port:単一年のブドウを原料とし、瓶詰前にガラス製のdemijohnsで最低7年間熟成
③ホワイトタイプ
★Light Dry White Port:白ブドウを原料とし、最低アルコール度数16.5度以上
④ロゼタイプ
★Rose Port:黒ブドウを原料とし、低温で短時間のスキンコンタクト、アルコール度数19度程度
ポルトは頻出のため、造り方、タイプ毎のカテゴリーはキーワードと共に必ず押さえましょう!ルビータイプのルビー・リザーブ・ポルトとクラステッド・ポルトは近年追加となっています!
✅Douro D.O.C.
・ポルトと同一エリアで造られるスティルワイン
・Barca Velhaは歴史が長く、最も偉大なワイン(ファーストヴィンテージ1952年)
中部
テラス・デ・システル
✅地方料理と食材
・Pão-de-ló(カステラの起源とされる、スポンジ状のケーキ)
✅Távora-Varosa D.O.C.
・ポルトガルで初めてスパークリングワインの産地として認定
テラス・ド・ダン
✅Dão D.O.C.
・赤ワインが80%を占める(トウリガナショナル主体)
・エンクルザードを使った白ワインも評価
・独自の品質分類あり
バイラーダ・アトランティコ
✅Bairrada D.O.C.
・ダンに接した産地
・赤ワインが85%を占める(バガ主体:タンニンが強くしっかりしたワイン)
ダンとバイラーダはよく問われます
ダンはトウリガナショナル主体、バイラーダはバガ主体で、産地は隣接しています
テラス・ダ・ベイラ
✅協同組合からの生産が大部分を占める
リスボン
✅ポルトガルで最も多くのD.O.C.を有する
✅Bucelas D.O.C.
・ブセラスを名乗るためには、アリント種を75%以上使用しなければならない
✅Colares D.O.C.
・12世紀のレシピをベースとしたMedieval de Ourém(80%の白ワインと20%の赤ワインをブレンド)
テージョ
✅Do Tejo D.O.C.
・6つのサブ・リージョンあり
中部地方はどのD.O.C.が、どの産地に属するかをまずは頭に入れましょう!
南部
ペニンスラ・デ・セトゥーバル
✅このエリアは2009年までTerras do Sadoと呼ばれていた
✅Setúbal D.O.C.
・マスカットの酒精強化ワイン
・モスカテル・デ・セトゥーバル(マスカット・オブ・アレキサンドリア)またはモスカテル・ロッショを67%以上含まなければならない→85%以上含むワインは品種名をラベル表記できる
・18ヶ月以上オーク樽で熟成
・アルコール度数16%〜22%
・ラベルには熟成年数によって10年、20年、30年、+40年などの表記があり、5年以上の熟成でSuperiorの表記可能
セトゥーバルはマスカットの酒精強化ワインとして有名なので覚えましょう
アレンテジャーノ
✅世界有数のコルク産地
✅Alentejo D.O.C.
・伝統的なアンフォラからクリーンなワインが生産されている
アルガルヴェ
✅ポルトガルにおけるイスラム勢力が終焉を迎えた場所
諸島
テラス・マデイレンセス
✅Madeira D.O.C.
【生産方法】
・急斜面にPoiosと呼ばれる石垣で形成された段々畑
・添加するグレープスピリッツのアルコール度数96度
・ワインのアルコール度数17〜22度
・Canteiro(太陽熱を利用した天然の加熱熟成法、長期熟成タイプの高級ワイン、収穫した次の年から数えて3年経過しないと商品化できない)
・Estufa(人口的な加熱装置、45~50℃で約3か月間加熱、3年熟成などのスタンダードタイプ、収穫した翌年の10月31日以前には瓶詰めすることも販売することもできない)
【タイプ、規定】
・熟成は3年以上必要(Reserva:5年以上、Special Reserva:10年以上、Extra Reserva:15年以上)
・品種名表示のマデイラは表示品種が85%以上使用されなければならない
・Frasqueira (単一品種、単一収穫年表記のヴィンテージワイン、最低20年以上熟成、表示品種100%使用が必要)
・Colheita (収穫翌年1月1日以降に樽詰めされ、継続して5年以上熟成を行ったワイン)
【ブドウ品種と特徴】
・Sercial(比較的冷涼な気候の地域で栽培される白ブドウ。酸味を生かした辛口タイプ)
・Verdelho(涼しい北部地域で栽培される白ブドウ。中辛口タイプ)
・Boal(暖かい南部地域で栽培される白ブドウ。中甘口タイプ)
・Malvasia(海岸沿いの暑い地域で栽培される白ブドウ。甘口タイプ)
・Tinta Negra(収穫量が全体の80%と最も多い黒ブドウ。3年熟成タイプに多く、ブレンドとして使用)
・Terrantez(果皮が非常に薄く繊細なため生産量少ない白ブドウ。中辛~中甘口タイプ)
・Bastardo (かつて栽培されていた黒ブドウ。現在ではほとんど見かけない)
マデイラは頻出なので、造り方、特にカンテイロとエストファの違い(教本の図)や、ブドウ品種と特徴は整理して覚えるようにしましょう!
アソーレス
✅アソーレス諸島はリスボンから西へ1,500kmの大西洋に浮かぶ9つの島々からなる群島
✅Pico D.O.C.
・ピコ島はアソーレス諸島で2番目に大きい火山島
・Curraisと呼ばれる黒い火山岩でできた石垣でブドウを囲み強い潮風からブドウ樹を守る(以下写真)
・代表的なワインであるLajidoは中辛口タイプの酒精強化ワイン
ピコはプロフィール、特徴的な栽培法、代表的な酒精強化ワインなど押さえましょう!
スペイン、ポルトガル 予想問題
理解度の確認のため、10問全問正解するまで帰れま10にチャレンジしてみましょう!
10問全問正解するまで何度もチャレンジしてみてください。問題には教本の該当ページを記載してありますので、間違った問題や解答に迷った問題は、都度教本に戻って復習してみてください。