ソムリエ/ワインエキスパート試験対策について、教本の出題ポイントをまとめています
昨年度からの変更点や、頻出箇所などポイントを抑えて解説します
最後に確認問題を掲載してありますので、理解度の確認に使用してください!
各項目の出題ポイント、ヒントはボックスで示しました
必ず押さえておくべき用語は青字、人名は赤字、ブドウ品種は緑字で表示しています
その他黒字の部分もできるだけ広く覚えるようにしましょう!
また、重要な箇所は黄色のアンダーラインで示しています

昨年からの主な変更点
- ブドウの栽培方法の前文および(1)剪定の項が全面改訂【P.15~17】
- 赤ワインの醸造法④醸しの一段落目追加【P.27】
- 【ルモンタージュの効果】にピジャージュの限界値(3,000~4,000kg)が追加【P.27】
- ロゼワインの醸造法の説明文改訂(特に③短期醸しの項目追加、ロゼワインのスタイル説明文)【P.29~30】
- スティルワインの醸造の(7)様々なワインの醸造法の②Sur Lieに追記(ステンレス・タンク熟成や~赤ワインでも意識して行うことがある。)、(「Sue lie」を表示するための要件がA.O.C.で規定されている。)【P.31】
- スパークリングワインの製法の(4)その他①Ancestral Methodの例示にLimoux méthode ancestraleが追加
ブドウの栽培方法の剪定は挿絵も含め全面改訂となっているため、要チェックです!
また、ロゼワインの醸造法はこれまで3種類でしたが、短期醸しが追加され4種類になっているので、それぞれの違いや特徴をしっかり押さえましょう
初めに〜ワインとは
✅日本の酒税法では「酒類とはアルコール分1度以上の飲料」と定義
✅酒税法上の分類
・発泡性酒類:ビール、発泡酒など
・醸造酒類:①果実原料:果実酒(ワイン、シードル) ②穀物原料:清酒
・蒸留酒類:①果実原料:ブランデー ②果実以外:ウイスキー、スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム)
・混成酒類:合成清酒、みりん、甘味果実酒(ポート、シュエリー、マデイラ、ヴェルモット)、リキュール(パスティス、クレームドカシス、キュラソー、アマレット)、粉末酒、雑酒
✅ワインとは、「ブドウ果実を原料として醸造した酒類」
✅日本ワインとは、「日本で収穫されたブドウのみを原料とし、日本で醸造されたワイン」
酒税法上の分類では、各カテゴリーに属するお酒の種類を覚えましょう!
ワインの特性
✅アルコール発酵(ブドウ糖/果糖+酵母→エチルアルコール+二酸化炭素)
・Joseph Louis Gay-Lussac:化学式を提唱
・Louis Pasteur:アルコール発酵が酵母の活動によるものであることを解明
✅ワイン中の主な有機酸
・ブドウに由来:酒石酸>リンゴ酸>クエン酸
・発酵によって生成:コハク酸>乳酸>酢酸
✅ワインの香り
・第1アロマ:原料ブドウ由来の品種特有香(3-Mercapto hexanol=3MH:ソーヴィニヨン・ブラン)
・第2アロマ:発酵工程で酵母や乳酸菌が生成する香り(酢酸イソアミル:吟醸香、Diacetyl:乳製品)
・第3アロマ(ブーケ):発酵終了後に生じる香り(Vanillin、Oak lactone:樽由来の香り)
✅ワインは健康的なお酒
・ポリフェノール→果皮、種子に多く含まれる
・Rsveratrol→果皮に多く含まれる
アルコール発酵にでてくる人物名は頻出です。
有機酸は名前だけでなく、含有量の多さの順も覚えましょう!
ワインの香りはテイスティングの項のアロマ化合物と合わせて覚えましょう
ワインの分類
✅醸造法による4つの分類
①Still wine
②Sparkling wine
・スパークリングワイン(3気圧以上のガス圧)
・弱発泡性ワイン(仏:Pétillant、独:Perlwein、伊:Frizzante)
③Fortified wine:Jerez/Sherry、Port、Madeira、Marsala、V.D.N.、V.D.L.(例:Pineau des Charentes、Ratafia de Champagne)
・Mutage(アルコールを添加し発酵を止める工程)
④Flavored wine:Vermouth、Lillet、Retsina、Sangria
それぞれのカテゴリーにどんな種類のお酒が該当するのか覚えましょう!
Jerez、Ratafia de Champagne、Mutageは近年追加されている用語なので要チェックです
Ratafia de Champagneとは、シャンパーニュ地方で造られるV.D.L.で、A.O.C.シャンパーニュのブドウ果汁(未発酵)にブランデーのマールを加えて樽発酵させたものです
EUの規則
品質分類
✅A.O.P.:原産地呼称保護
✅I.G.P.:地理的表示保護
ワイン法による品質分類の表(P.8)は各論でも出てきますが、この表をうまく活用して横断的に覚えましょう!
ラベル表記
✅主な義務記載事項
・製品のカテゴリー(ワイン、V.D.L.など)
・A.O.P.、I.G.P.
・アルコール度
・原産地
・瓶詰め業者名(スパークリングワインは生産者と販売業者)
・スパークリングワインは残糖量
✅任意記載事項
・収穫年(85%ルール)
・原料のブドウ品種(85%ルール)
・スパークリングワイン以外の場合の残糖量の表示
・A.O.P.、I.G.P.、EUのシンボルマーク
・生産方法に関する記述
✅スパークリングワインの残糖量の表示
・Brut Nature=Pas Dosé=Dosage Zéro(仏、残糖量3g/l未満※ドサージュしていないもののみ)
・Brut(仏・伊・独、残糖量12g/l未満)
・Sec(仏)=Secco/Asciutto(伊)=Trocken(独)
・Demi-Sec(仏)=Abboccato(伊)=Halbtrocken(独)
・Doux(仏、)=Dolce(伊)
✅スパークリングワイン以外の残糖量の表示
・Sec(仏)=Asciutto(伊)=Trocken(独)
・Demi-Sec(仏)=Abboccato(伊)=Halbtrocken(独)
・Moelleux(仏)=Amabile(伊)=Lieblich(独)
・Doux(仏、残糖量45g/l以上)=Dolce(伊)=Süß(独)
ラベル表記の項は頻出ポイントですので、義務記載と任意記載を区別しましょう
残糖量の表示は、スパークリングワインを中心に、表示の甘辛度の順番、残糖量、同一カテゴリーの(国違い)別称を覚えるようにしましょう!
栽培地域のゾーン区分
✅EUの産地ゾーン区分(Zone A〜Zone C-III(b))
✅主な気候区分
・大陸性気候(英 Continental climate、仏 Climat continental):昼と夜の気温の日較差、夏と冬の気温の年較差が大きい(ブルゴーニュ)
・海洋性気候(英 Maritime climate、仏 Climat maritime):気温の日較差が少なく、降水量が多い(ボルドー、クナワラ)
・地中海性気候(英 Mediterranean climate、仏 Climat méditerranéen):温暖で乾燥した気候、冬に雨量が増える(南フランス、スペイン、イタリアなどの地中海沿岸エリア、カリフォルニア)
・山地気候(英 Mountain climate、仏 Climat montagnard):標高の高いブドウ栽培地域、天候の変化が大きく風が強い(山梨、長野、ジュラ、サヴォア)
EU産地ゾーンも、気候区分も、それぞれのカテゴリーに属する代表的な栽培地域を押さえましょう!
気候区分は余裕があれば英語、フランス語表記も覚えるようにしましょう
気候区分は、栽培地域ごとに栽培方法やブドウ品種と絡めて理解すると、なぜその栽培方法なのか、なぜそのブドウ品種なのかが理解でき、様々な問いにも対応できるようになります!
ブドウ品種
✅Vitis vinifera:欧・中東系種、フィロキセラ耐性ほとんどなし
✅Vitis labrusca:北米系種、Foxy flavor、耐病性
✅Vitis amurensis, Vitis coignetiae(山ブドウ):アジア系種
ブドウの生育サイクルと栽培条件
✅ブドウの断面図
・果肉(英Pulp 仏Pulpe)
・種子(英Seed 仏Pépin)
・果皮(英Skin 仏Pellicule)
✅栽培条件
・年平均気温:10℃〜20℃
・北半球では北緯30度〜50度、南半球では南緯30度〜50度
・生育期間の日照時間:1,000時間〜1,500時間
・年間降水量:500mm〜900mm
・標高:100m上がると、気温は0.6℃下がる→温暖な産地はブドウ栽培地の標高が高い
・海に近いと最低気温と最高気温の温度差が小さくなる→内陸では逆の現象
・おろし風
✅生育サイクル(北半球)
①休眠
・11月〜12月:土寄せ(Buttage=Apports de terre)
・1月〜3月:剪定(Taille)→樹液の溢出(Pleurs)
②萌芽→展葉
・4月:萌芽(Débourrement)、畝くずし(Débuttage)
・5月:展葉(Feuillaison)→蕾(Bourgeon á fleurs)
③開花→結実
・6月:開花(Floraison)→夏季剪定(Rognage)→結実(Nouaison)→新梢の固定(Accolage)
④色付き
・7月〜8月:着色期(Véraison)
・8月〜9月:成熟(Maturité)
・9月〜10月:収穫(Vendange)
※色付き→成熟まで40日
※開花→収穫まで100〜110日前後
栽培条件は数字が問われ易いので下線部分は覚えましょう。
生育サイクルは仏語と英語の両方を覚えたいところですが、まずは仏語から覚えましょう!
生育サイクルの順番も問われることが多いので、順番もしっかり押さえておきましょう!
ブドウ品種の選抜及び交雑
✅Clonal selection:1つの区画に同じ遺伝子の株(クローン)のみが存在
✅Massal selection:1つの区画に複数の遺伝子の株が存在(集団選抜)
→クローンセレクションに比べ、遺伝子の多様性が見込める
✅ブドウの台木
①フィロキセラ対策
・アメリカ原産のブドウ(三大台木原種:リパリア種、ルベストリス種、ベルランディエリ種)
・Jules Emile Planchon博士が発見
②台木品種の交雑
・交配(crossing):同じ種をかけ合わせ
・交雑(hybridization):異なる種をかけ合わせ
ブドウの栽培方法
✅結果母枝:結果枝が伸びる元の枝
✅結果枝:ブドウの房が付く枝
剪定(Pruningプルーニング)
・前シーズンに伸びた枝を剪定し、翌年の結果母枝とする
・結果母枝に残した芽から新梢(Shoot)が伸び、ブドウの実をつける
✅剪定方法
①長梢剪定(Cane pruning)
・前年の結果枝のうち、主幹近くの充実した枝を水平に寝かせ、3つ以上の芽を残す
②短梢剪定(Spur pruning)
・前年に垂直方向に伸びた結果枝を1~2つ芽を残して剪定
③徒長性と節間
・節間とは芽と芽の間の部分のこと
・徒長とは新梢が過度に伸びる状態のこと
・徒長した枝を結果母枝にすると、節間が長くなり隣の樹と干渉するため残せる芽の数が少なくなってしまい、結果枝の数も少なくなり、収穫に影響が出てしまう
仕立て(Trainingトレイニング)
以下の4つの方法あり
Vertical Shoot Position(VSP):新梢を地面に対して垂直に伸ばす仕立て
①垣根仕立て:長梢と短梢剪定あり。世界的に広く実施(ボルドー、ブルゴーニュ、ドイツ、イタリア等)
・長梢剪定:ギヨ式選定法(Jules Guyot博士が広めた)
1)Guyot Double(長梢2本を左右に広げ水平に誘引)
2)Guyot Simple(長梢1本と短梢1本からなり、左右片側に長梢を誘引)
・短梢剪定:Cordon Royat(長梢から伸びた結果枝を、それぞれ1~2芽の短梢に剪定。Royat農業学校で開発した仕立て法)
②棒仕立て:2本の長梢を主幹に添えた棒を中心にハート型にしばる。急斜面に適している(モーゼル、北部ローヌ等)
③株仕立て(英Head training、Bush training 仏Gobelet):新梢を針金で固定しない。乾燥地で多く使われる(南フランス、スペイン、ポルトガル等)
④棚仕立て(英Overhead vine training 仏Pergola):植栽密度が低いことが多く、樹体は比較的大きくなる。細かい手入れ可能、生食用ブドウに適用(日本、イタリア、スペインのリアス・バイシャス、ポルトガルの一部等)
・Hayashi-Smartシステム→長野県塩尻市を中心に普及している、棚仕立ての短梢剪定(Smart-Miyorgar仕立てを改良)。ブドウの房に日光が当たりにくいという棚仕立ての課題を解決
剪定方法については詳細な挿絵が追加となっています
具体的な選定方法を挿絵から理解しておきましょう!
また、4つの仕立て方は必須です。形状や仏語表記、代表産地など押さえましょう。
特に垣根仕立ては実際にどのように剪定が行われるか理解して覚えましょう!
ゴブレとペルゴラは余力があれば英語表記も押さえておきましょう!
生理障害
✅花振るい(Coulure):受粉、結実が悪く収穫量が減る現象
✅Millerandage:小粒のまま果実になった状態
ブドウの病虫害
①カビによるもの
✅ベト病(Downy mildew):1878年に最初の被害。花や葉、果実に白いカビ状の胞子が形成され、落花、落葉、落果させる【対策】ボルドー液
✅灰色カビ病(Gray mold):病原菌はボトリティス・シネレア。花穂、葉、果房に灰色のカビを生じる。貴腐ブドウの原因菌【対策】イプロジオン水和液
✅ウドンコ病(Powdery mildew):1850年頃伝播。若枝または育成中のブドウ果粒が白い粉状の胞子で覆われ成長が妨げられる【対策】硫黄を含む農薬やベンレート
✅晩腐病(Ripe rot):日本ではブドウ病害被害中最大。ブドウを腐敗させる【対策】ベンレート
✅ESCA:最も古くからあるブドウの病気。カビの胞子が剪定の際の切り口などに付着して感染【対策】確立されていない
✅Excoriose:前年のうちにブドウに付着した胞子が翌年萌芽してから増殖し、枝がカサブタ状になる【対策】感染した枝を冬の間に燃やす
②バクテリア(細菌)によるもの
✅根頭癌腫病(Crown gall):バクテリアがブドウ組織に感染して、こぶ状の塊をつくる
✅ピアス病:シャープシューターと呼ばれるヨコバイの仲間がブドウ樹液を吸う際にバクテリアに感染させる【対策】殺虫剤でヨコバイによる繁殖を抑える
✅Flavescence dorée:スカフォイデウス・ティタヌスというヨコバイの一種がブドウ樹液を吸う際にバクテリアに感染させる【対策】殺虫剤でヨコバイによる繁殖を抑える
③その他の病虫害
✅ウイルス病:Leaf roll(葉巻病)、Fleck、Corky bark等【対策】成長点培養によるウイルスフリーのブドウ苗の育成
✅フィロキセラ(ブドウネアブラムシ):19世紀中頃にヨーロッパで甚大な被害【対策】北米系種を台木とした接木
ブドウの病害は頻出箇所です。まずは英語名で覚えるようにしましょう!
各病害名と、病害への対策をセットで必ず押さえましょう!
各種ブドウ栽培
①有機農業
・「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない、遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本とした農業」
・Ecocert(1991年設置@トゥールーズ)が国際的な認証団体で最大
②有機ワイン(仏Vin biologique)
・「有機農業により生産されたブドウを使用し、すべての製造ラインについて有機ワインではないものとは隔離され、公的機関の認証を受けたワイナリーで生産されたワイン」
・2012年から「vin biologique」をラベル表示(EU規則)
③Biodynamie(英Biodynamics)
・Rudolf Steinerが提唱
・農事暦を活用し、農薬を使用せずプレパラシオンと呼ばれる調合剤を利用
・Demeter(ドイツの認証団体)
④減農薬栽培(仏Lutte raisonnée):農薬の必要性は認めた上で、使用料を最小限にとどめる考え
最近トピックスになっている部分なので、単語の暗記だけでなく内容も押さえるようにしておきましょう!
ワインの醸造
スティル・ワインの醸造
ワイン醸造の基礎
①亜硫酸:酸化防止が目的、効果を得るためには活性型亜硫酸が重要→アセトアルデヒドの多いワインやpHの高いワインでは効力が低下
・活性型亜硫酸の濃度目安(白ワイン:0.8ppm、赤ワイン:0.6ppm)
・ワインのpHが上がる要因(過熟ブドウ、果皮と一緒の発酵、スキンコンタクト、MLFなど)
②酵母:Saccharomyces cerevisiae
③乳酸菌:Oenococcus oeni
④マロラクティック発酵(MLF):リンゴ酸→乳酸+炭酸ガス
【3つの効果】
1)酸味が和らげられ、まろやかに
2)ダイアセチルなどの香りで複雑性を増す
3)リンゴ酸がなくなり、瓶詰め後の微生物学的安定性が向上
⑤滓引き(英Racking 仏Soutirage):滓をlieと呼ぶ
酵母名、乳酸菌名やMLFの効果は頻出です!
発酵・貯蔵容器
①ステンレスタンク:白ワイン→縦長、赤ワイン→寸胴型
【効果】温度管理が容易、衛生管理が容易、ワインの酸で腐食しにくい
②コンクリート・タンク(cuves á vin en béton)
【効果】保湿性がよく、清掃がしやすい
③木桶:赤ワインの発酵で使うことあり、保温性に優れている
④オーク樽:貯蔵容器や輸送容器として使用
・Barrique:ボルドー(225リットル)
※バリック4つ分の容量(900リットル)=トノー(750mlで1,200本=100ケース)
・Piéce:ブルゴーニュ(228リットル)
(a)樽育成(英Barrel aging 仏Elevage en tonneau)
・目減り分の補酒(Ouillage)
【主な効果】
・穏やかな酸素との接触
・樽からの成分抽出(タンニン、ココナッツ香)
・清澄化
・赤ワインの色調安定化
・フェノール成分の重合による沈殿
・風味の複雑化
(b)樽発酵:通常白ワインで行われる
(c)オークの酒類
・オークの種:ケルカス属
・産地:トロンセ、アリエ、リムーザン、ヴォージュなどが有名
・フレンチ・オーク(柾目取り):タンニン多め、ヴァニラ香やココナッツ香控えめ
・アメリカン・オーク(板目取り):タンニン少なめ、ヴァニラ香やココナッツ香強め。ゴム状の化合物チロースが多く含まれるため、木目の隙間を防ぎ、板目取りしてもワインが漏れない→比較的安価で製造可能
(d)樽材の自然乾燥(英seasoning):ヴァニラ香、ココナッツ香増える
(e)トーストにより抽出される香り
・ヴァニリン→ヴァニラ香
・Eugenol→クローブ、ナツメグ香
・Light toast – Medium toast – Heavy toast(タンニン抽出:多い⇔少ない)(ロースト香:少ない⇔多い)
・日本では2018年4月からオークチップを浸漬して、香味を浸出することが認められた
(f)樽育成中の滓引き
・樽での滓引きは3~4ヶ月ごとに行うのが一般的
・新樽の場合、樽に入れてから最初の滓引きまでの目減り分が一番多い
(g)樽の容量の違いによる影響
・容量の大きな樽ほど、単位容量当たりの表面積が小さくなる→ゆっくりワインが熟成
⑤素焼きの壺(Amphora、Qvevri):紀元前からワインの発酵や貯蔵で使用、ジョージアではクヴェヴリと呼ばれる(ユネスコの無形文化遺産)
コンクリートタンクの仏名、オーク樽の種類、ウイヤージュの意味、樽育成の効果は頻出です
赤ワインの醸造法
①選果(Triage des raisins)
②破砕(Foulage)、除梗(Egrappage)
・イソブチル・メトキシピラジン(IBMP):青臭い匂い→カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ
③主発酵(Fermentation alcoolique)
・発酵温度:30℃前後
・果醪(英Must 仏Moût)
・補糖(Chaptalisation)
④醸し(Macération)
・アルコール度10%程度になると種子からタンニンの溶出始まる
・果房(英Cap 仏Chapeau de marc)
・Remontage、Pumping over
【3つの効果】
1)果醪液への酸素供給
2)糖分、酵母、温度の平均化
3)果皮・種子からフェノール類などの成分抽出
・櫂つき(Pigeage):人力でのピジャージュは3,000~4,000kg程度が限界
⑤圧搾(Pressurage):赤ワインは発酵後に圧搾
・Free run wine(仏Vin de goutte):ワイン自身の重さと果房の重みによる
・Press wine(仏Vin de presse):圧搾機による
・バルーン型圧搾機(Presse pneumatique)
⑥マロラクティック発酵
⑦貯蔵・熟成・育成(英aging 仏élevage)
・育成(熟成)→滓引き→清澄(清澄剤:卵白、ベントナイトなど)→濾過→瓶詰め
白ワインの醸造法
①選果(Triage des raisins)
②破砕(Foulage)、除梗(Egrappage)
③Skin contact(Macération pelliculaire)
④圧搾(Pressurage):白ワインは発酵前に圧搾
⑤Debourbage(前清澄):透明度の測定(英:NTU、仏:UTN)白ワインのみ
⑤主発酵(Fermentation alcoolique)
⑥マロラクティック発酵:シャルドネで行うことが多い(リースリング、ソーヴィニョンでは行わない)
⑦貯蔵・熟成・育成(élevage)
・Bâtonnage:樽の中の滓を撹拌 白ワインのみ
ロゼワインの醸造法
①セニエ法
・濃いめのロゼワイン、「瀉血」の意味
・赤ワイン醸造の副産物としてできることが多い
②直接圧搾法
・黒ブドウを原料とし、白ワインと同様の方法で造る。「粉砕してから圧搾」、「無破砕で圧搾」、「全房で圧搾」の圧搾方法あり
・ロゼワインを目的に行われるため、自由度が高い
③短期醸し(ショート・マセレーション)
・赤ワインと同様に醸し発酵し、発酵初期で引き抜きと圧搾
・やや重めの酒質
④混醸法
・黒ブドウと白ブドウを混ぜた状態で発酵
・赤ワインに近い酒質
オレンジワインの醸造法
✅方法①:破砕した白ブドウをスキンコンタクト後に圧搾し、果汁を発酵
✅方法②:赤ワインと同様に白ブドウを果皮ごと発酵し、発酵途中または終了後に圧搾→方法①よりタンニン分を多く含み、厚みのあるオレンジワインになる
✅使用されるブドウ品種
・黄色みの強い白ぶどう(Rkatsiteli、Ribolla Gialla、シャルドネなど)
・グリ・ブドウ(ピノグリ、ゲヴェルツトラミネール、甲州)
✅Amber wine(琥珀色のワイン):ジョージアでクヴェヴリで発酵・貯蔵したワイン
✅Vin Gris:グリ・ブドウから造られ、ややくすんだピンク色をしたワイン
✅Vino Ramato(銅色のワイン):イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州で伝統的にピノ・グリージョから造られるワイン
醸造法は頻出ポイントです、テキストの図解と合わせて覚えましょう
各用語はフランス語のみならず、英語名も合わせて覚えましょう
ロゼワインの醸造法が更新されていますので、要チェックです!
醸造法を理解する方法として、You Tubeで実際の醸造作業を観てみると覚えやすくなります!
様々なワインの醸造法
✅Carbonic maceration(Macération carbonique):バナナの香り(酢酸イソアミル)、ボージョレ・ヌーヴォーのようにフルーティな香りで、色の濃さのわりにタンニンが少ないフレッシュな味の赤ワインとなる
①炭酸ガスを外から注入する方法
②一部のブドウの発酵によって生じる炭酸ガスに頼る方法→ボージョレ・ヌーボー
✅Sur lie
・「滓の上」の意
・ロワール地方Pays Nantais地区でよく知られ、A.O.C.で規定されている
・酵母の滓からアミノ酸などの旨み成分や、ワインを酸化から守る成分が抽出される
・白ワインだけでなく、赤ワインでも意識して行われることがある
・日本では1980年代にメルシャン酒類研究所所長の大塚謙一博士の提案により甲州ワインで導入→メルシャン東雲甲州シュール・リー1983として結実
✅Skin contact(Macération pelliculaire):ブドウの品種香を果汁に移行
✅Co-inoculation:アルコール発酵とマロラクティック発酵を同時に行う方法(通常はアルコール発酵終了後に連続してマロラクティック発酵がはじまる)
【メリット】マロラクティック発酵の開始には一定の温度が必要となるが、Co-inoculationはアルコール発酵の熱で乳酸菌を増殖することができるため、エネルギーの節約になる
✅全房発酵(英Whole Bunch Fermentation):主に赤ワインで除梗の工程を行わずに、果梗を果皮・種子とともに漬け込んで発酵。ピノ・ノワールの醸造で行われることが多い(IBMP少ないため)
ここに記載の醸造法は、その効果も含め必ず覚えましょう!
Sur lieは今季改訂されていますので、要チェックです
スパークリングワインの製法
✅発泡性ワイン(20℃で3.5bars以上の炭酸ガス圧を有するもの)
・Vin mousseux, Crémant@フランス
・Schaumwein, Sekt@ドイツ
・Spumante@イタリア
・Espumoso@スペイン
(1)トラディショナル方式(英Traditional Method 仏Méthode traditionnelle=Méthode champenoise=シャンパーニュ方式)
・瓶内二次発酵
・シャンパーニュ@フランス
・Flaschengärung@ドイツ
・Metodo classico@イタリア
・Cava@スペイン
(2)シャルマ方式(英Tank Method 仏Méthode charmat)
・密閉タンク方式(Méthode cuvée close)ともいう
・Eugène Charmatにより考案
・スティルワインを大きなタンクに密閉し第二次発酵を行う
・ブドウのアロマを残したい発泡性ワインを造る場合
・コストを抑えた発泡性ワインを造る場合
(3)トランスファー方式
・瓶内二次発酵させたワインを加圧下のタンクに開け、冷却、濾過してから新しいボトルに詰め替える
→トラディショナル方式のルミュアージュ(動瓶)とデゴルジュマン(滓抜き)を簡略化
(4)その他
1)アンセストラル・メソッド(仏Méthode ancestrale)
・発酵途中のワインを瓶に詰め、王冠などで打栓して残りの発酵を瓶内で行う
・Méthode ruraleともいう
・Clairette de Die、Gaillac、Limoux méthode ancestrale
2)炭酸ガス注入方式
・加圧下のタンクにワインを入れ、炭酸ガスを吹き込む方式
スパークリングワインの製法は頻出箇所となっています!
各製法の別名や、製法手順の違いを押さえておきましょう!
各種醸造法
✅Saignée:果醪から液体部分を分離する作業
①ロゼワイン
・発酵前に行う→薄めの色合いのロゼワイン
・発酵が始まってから行う→濃いめのロゼワイン
②赤ワイン
・発酵前に行う→色合いの濃い赤ワイン
・抜き取った果汁は、発酵してロゼワインにすることが多い
✅Macération â chaud ※”ショー”は熱いという意味
①マセラシオン・プレフェルメンテール・ア・ショー(M.P.C.) ※発酵前・70℃
→十分に色素が抽出された、タンニンが少ない軽めの赤ワインとなる
②マセラシオン・フィナル・ア・ショー(M.F.C.) ※アルコール発酵後・30〜45℃
→果皮や種子からタンニンの抽出を強めることができる
✅Macération préfermentaire á froid(M.P.F.)
※”フロワ”は冷たいという意味
→果実味のあるワインになる
✅Flash Détente
→果実香と赤い色素を抽出する方法。マセラシオン・ア・ショーの一種
✅樽発酵(仏Fermentation en tonneau)
→樽の中に果汁を入れて発酵させる工程(主に白ワインで行われる)
✅Cryo-extraction(氷果凍結圧搾) ※−7℃以下の冷凍庫で冷却
→糖度の高い果汁を得る方法。ドイツのアイス・ワインを人工的に行う圧搾法
✅逆浸透膜(Osmose inverse)による濃縮(※)
→逆浸透の原理を利用し、ブドウ果汁から水を除き糖度や酸度を高めることができる
✅常温減圧濃縮(※)
→真空容器内で果醪を減圧状態にし水分を蒸発させる方法
※濃縮に関する規定:1%のアルコール分を上げるためには、約10%の水を除く必要がある
✅Micro-oxygénation(Micro-bullageともいう)
※多孔質のセラミック・酸素の微泡
→多孔質のセラミックを通して酸素の細かい泡を吹き込む方法
①果醪またはワインが還元的になるのを防ぐ、②発酵遅延を防ぐ、③香りに熟成感をもたせる、
④ポリフェノールの酸化重合を促進し口当たりを柔らかくする、といった効果あり
その他醸造用語は、それぞれどういう工程(意味)なのかをキーワードを絡めて押さえるようにしましょう!
安定化処理
1)清澄化処理
✅滓下げ(英Fining 仏Collage)
・清澄度を上げることが目的
・滓下げ剤(ベントナイト、卵白、カゼインなど)
・滓下げを行わないこともある→無滓下げ
✅無滓下げ(英No-fining 仏Non collage)
・ワインの瓶詰めの前に滓下げを行わないこと
2)冷却処理
・瓶詰め後に酒石が大量に析出しないように冷却処理を行う
・酒石酸はワインに通常0.5%前後含まれ、カリウムやカルシウムと結合し酒石となり結晶化、沈殿する
3)濾過(英Filtration 仏Filtrage)
【濾過の目的】
・滓引きや清澄化処理で取りきれなかった濁り成分を除去
・酵母やブレタノマイシスを除去し、瓶詰め後のワインを安定な状態にする
✅無濾過(英Non-filter 仏Non filtration)
・ワインの醸造後、濾過を行わずに瓶詰めすること
前出の「滓引き」も含め、「滓下げ」、「濾過」の各工程で行う作業とその効果(違い)を理解しましょう!
包装工程
✅包材(Dry material)
①ガラス瓶
・コルクを打ち込む仕様
・スクリューキャップの仕様
②PET
・ポリエチレン・テレフタレート素材
③BIB(バック・イン・ボックス)
・カートン製のボックスの中に、プラスチック製の袋が入った仕様
④Closure
・天然コルク:コルク樫の樹皮をはいだものを原料として、加工、成形したクロージャー。一定の確率でコルク臭が発生する
・圧搾コルク:天然コルクを細かく砕き、合成樹脂などで成形したコルク。コルク臭の発生率が極めて低い
例)DIAM

・合成コルク:プラスチック素材などの合成樹脂のみで成形したコルク型クロージャー
例)Nomacork

・Screw cap:金属製のキャップ。クッション材(ライナー)が挟み込まれている
例)Stelvin
・その他
例)Vinolok(ガラス製の栓)

✅溶存酸素管理
①溶存酸素(DO)
・ワインに溶け込んだ酸素のこと
・DO=0.5~1.0mg/Lに管理することが多い
②窒素パージ
・DOが高い場合、窒素をワインに吹き込むことで減らすことができる
③ヘッド・スペースの酸素(HSO)
・ワインの液面とクロージャーの間の空間に含まれる酸素
④ボトル内の全酸素量(TPO)
・DO+HSO
⑤ワインの保存
a. 空気を可能な限り抜いて、減圧状態で保管
b. ガスを吹き込んで、酸素濃度を減らす
→2019年に食品衛生法と、酒税に関する国税庁告示にアルゴンが追加され日本でも使用可能に
包装工程の項は近年追加された項目です。特にクロージャーのタイプごとの商品名は覚えましょう
ワイン概論 予想問題
理解度の確認のため、10問全問正解するまで帰れま10にチャレンジしてみましょう!
10問全問正解するまで何度もチャレンジしてみてください。問題には教本の該当ページを記載してありますので、間違った問題や解答に迷った問題は、都度教本に戻って復習してみてください。