ソムリエ/ワインエキスパート試験対策について、教本の出題ポイントをまとめています
昨年度からの変更点や、頻出箇所などポイントを抑えて解説します
最後に確認問題を掲載してありますので、理解度の確認に使用してください!
昨年からの主な変更点
テイスティング
- 「香りをもつ化合物の概要」の項が新設【P.796~797】
テイスティングは「香りをもつ化合物の概要」が新設され、これまで各章にいくつかあった香り化合物に関する記述が本項にまとめられました!
チーズ
- 「日本のチーズの需要状況」の項の各種統計量(チーズ消費量/比率、輸入チーズ総量、チーズ生産量など)の更新【P.817】
- 「日本におけるチーズの地理的表示(G.I.)」の説明文改訂【P.817】
チーズは日本に関するデータが更新され、記載内容も一部改訂されています!
料理とワインの相性(ペアリング)
- 本項が新設【P.818~823】
本項は今年度新設されました!
ワインの購入・保管・熟成・販売
- 各種統計量(酒税課税数量の推移表、ワイン消費量、主要国別・ブドウ酒の輸入状況、主要国別・スパークリングワインの輸入状況など)の更新【全体】
- ワインの購入の「インポーターでのワインの購入」の項に一部追記(コロナ禍で以降、リファーコンテナの偏在~頭に入れておかなければならない。)【P.827】
- ワインの保管・熟成の「3.熟成と劣化、飲みごろ」の項に一部追記(容器の容量(長期熟成に最も適しているのは~酸化劣化の可能性は否めない)などである。)【P.835】
主要国別・ブドウ酒の輸入状況の最新データで、輸入ワイン数量においてフランスがチリを抜かして1位になっています!
ソムリエの職責とサービス実技
- 特に変更修正なし
テイスティング
テイスティングの目的
・自分の嗅覚、味覚の能力を知り、経験を積むことによって、その能力を向上させる
・テイスティングで感じたことによって、ワインのヴァリエーションを識る
・ワインを分析し、記憶する
・ワインの欠点を探すのではなく、個性及び特性を知る
・感覚を言葉で表現することを身につける
テイスティングの標準
✅環境:室温18〜22℃、湿度60〜70%
✅グラス:チューリップ型でカットや模様のないもの、国際標準化機構の規格グラス
✅ワイン:赤ワインは16〜18℃、白・ロゼ・発泡性ワインは10〜12℃、40〜60mL、グラスの1/3〜1/4
✅体調:口内の清潔・無臭を保つ、飲食(特に飲酒、喫煙)をしない
✅時期:購入検討次、料理とのペアリングチェック、時間帯は午前、空腹時が望ましい
✅その他:化粧品、整髪料、香水は避ける
テイスティングの方法
外観
✅濃淡:ブドウの成熟度合い、抽出度合い、ワインの凝縮感を推測
・果皮が厚い、粒が小さい場合→色が濃くなる(赤ワインの場合)
✅色調:ワインの熟成度合いを推測
・色調が一様で淵に青みが見える場合は若い状態:白ワイン(グリーン)、赤ワイン(紫)
・淵に茶色が見える場合は熟成した状態:白ワイン(黄金色〜琥珀色)、赤ワイン(オレンジ〜レンガ色)
✅輝き:「照り」「艶」をみる。酸度と密接に関係(酸の豊富なワイン→強い輝き)
✅清澄度:ワインの透明度を確認。酸化熟成とともに清澄度は下がる
✅粘性:グラスの壁面をつたう「滴」の状態を見る。アルコール度、グリセリン量に関係
✅泡立ち:ワインがフレッシュな状態であることを示す
✅まとめ:ブドウの成熟度とワインの熟成度合い、気候、醸造方法などを推測
✅スパークリングワイン
・泡立ちの粒の細かさ、ムースのきめを観察
・グラスの淵に沿ってできる泡立ちの輪(CordonまたはCrown)をグラスの真上から見る
香り
・静止した状態→スワリングしアロマ、ブーケを解析
✅第1アロマ:Arômes Primaires(仏) Primary Aromas(英)
・原料ブドウに由来する香り:「果実」「花」「草木」「スパイス」
・「アロマティック」:第1アロマが強く感じられるブドウ品種
・「ニュートラル」:第1アロマが強くないブドウ品種
✅第2アロマ:Arômes Secondaires(仏) Secondary Aromas(英)
・発酵段階(アルコール発酵、マロラクティック発酵など)で生まれる香り
・低温発酵:「キャンディ」「吟醸香」
・マセラシオン・カルボニック:「バナナ」
・マロラクティック発酵:(白ワイン)「バター」「クリーム」「生のアーモンド」「杏仁豆腐」
・酵母由来:「ドライイースト」「食パン」「白カビ」
✅第3アロマ:Arômes Tertiaires(仏) Tertiary Aromas(英)
・ブーケ(Bouquet)ともいう
・熟成由来の香り
・白ワインのフロール熟成ワインや貴腐ワイン:「ヘーゼルナッツ」「くるみ」「蜂蜜」「カラメル」
・赤ワイン:「紅茶」「タバコ」「枯葉」など植物系、「きのこ」「腐葉土」「森の下草」など土系、「干し草」「熟成肉」「なめし革」「ジビエ」など動物系
・木樽由来:「ヴァニラ」「ロースト」「丁子」「ナツメグ」
・長期瓶内熟成をしたスパークリングワイン:「トースト」「キノコ」「ブリオッシュ」
各アロマの代表的な香りを覚えましょう!
味わい
・口に含む量は5〜10mL、口中での滞留時間は5〜10秒
【前半】口当たり。舌先の前方で捉える
✅アタック:口に含んだ第一印象
✅甘み:ワインの残糖分、熟度の高いブドウの果実味、木樽の成分など
【中盤】口中。触感、嗅覚を意識する
✅酸味:ワインの個性を表す重要な要素。味わいのフレッシュ感、バランス、骨格、余韻に影響を与える
✅アルコール:味わいにヴォリューム感、刺激性を与える
✅ボディ:バランスを体型で表す
✅テクスチュア:触感および食感
【後半】ワインのポテンシャルをとらえる。口の奥を意識する
✅苦味:アミノ酸など旨味成分、フェノール類
✅渋み:タンニン分でブドウの果皮や種、木樽から由来する
✅フレーバー:口中に広がる香りや風味
✅余韻:ワインを飲み込んだ後に口中で残る風味
結論
✅健全なワインであるか
✅価格と品質のバランス
✅ワインの状態
✅どのようなワインか
・タイプ
・スタイル
✅今、楽しむことを前提として
テイスティングガイド
テイスティングガイドでは、各項目のテイスティング用語を頭に入れましょう!
官能表現チャート
✅白ワインのバランス
・酸味(シャープな←さわやかな←なめらかな←しなやかな)
・甘み(豊かな←まろやかな)
✅赤ワインのバランス
・収斂性(不快な・刺すような←収斂性のある・ざらついた←固い・粗い←豊かな←なめらかな・溶け込んだ←ビロードのような←シルキーな)
・甘み(ねっとりとした←甘みのある←豊かな←溶けあった)
・酸味(シャープな←フレッシュな←さわやかな←なめらかな←まるみのある)
アロマ化合物
代表的な香りと成分
✅β−イオノン(スミレ):20~50%程度の人がこの香りを感じない
✅ゲラニオール(バラ):テルペン化合物
✅ロタンドン(黒胡椒):シラーから発見
✅オイゲノール(クローブ):木樽由来
✅3−メルカプト−1−ヘキサノール(グレープフルーツ):富永博士とメルシャンの共同研究で発見。「きいろ香」と命名
✅フラネオール(イチゴ):ラブルスカに比較的多い
✅酢酸イソアミル(バナナ、吟醸香):マセラシオン・カルボニックで生じる。ボージョレヌーボー
✅2−イソブチル−3−メトキシピラジン(ピーマン)
✅ヴァニリン(バニラ):オークの木材に含まれる
✅ジアセチル(乳製品):乳酸菌にクエン酸が代謝されることで生成
香りをもつ化合物
✅品種香(第一アロマ)
①チオール化合物
・ソーヴィニヨン・ブランの香り(3MH、3MHA、4MMPなど)→グレープフルーツ、パッションフルーツの香り
・甲州も3MHを持つ
②テルペン類
・リナロール(マスカットやリースリングに含まれる)
・ゲラニオール(ゲヴェルツトラミネールに含まれる)
③フラネオール
・イチゴの香り(ヴィティス・ラブルスカに多く含まれる)
・マスカット・ベーリーAに多く含まれる
④Rotundone
・胡椒の香り(シラーやグリューナ・ヴェルトリーナーに含まれる)
⑤IBMP(イソメチル・メトキシピラジン)
・ピーマンの香り(カベルネ・ソーヴィニヨンをはじめボルドー原産のブドウ品種に多く含まれる)
✅微生物由来の香り成分(第二アロマ)
①馬小屋臭
・Brettanomycesと呼ばれる酵母が原因→Brettと呼ばれる
②酢酸イソアミル
・マセラシオン・カルボニックにより発生する香り(バナナや華やかな果実の香り)
③揮発酸
・常温で揮発する有機酸の総称、多くは酢酸
・濃度が高いと不快な匂いになる
・過剰な揮発酵を防ぐ対策(a.貯蔵中の亜硫酸管理、b.ワインを密閉容器に貯蔵、c.温度を低めに管理)
アロマ化合部は代表的な香りと、その成分は問われる可能性があるので要チェックです!!
余裕があれば、オフフレーバーについても押さえるようにしましょう!
チーズ
✅定義
・乳を原料として乳酸菌や凝乳酵素などによって凝固させ、ホエイ(乳清)の一部を取り除いたもの
・それらを乳酸菌やカビ等の微生物で発酵・熟成させたもの
✅日本の食品衛生法
・チーズとはナチュラルチーズ及びプロセスチーズをいう
✅歴史
・8世紀初頭トゥール・ポワチエ間の戦い
・中世のチーズづくりは修道院が大きな役割を果たす
・上流階級、王侯貴族に愛されたチーズ:「ブリ」「ロックフォール」
✅チーズ生産量
・1位アメリカ合衆国(年間590万t)
・2位ドイツ
・3位フランス
ナチュラルチーズの分類
✅フレッシュタイプ:Fromage frais(仏)Fresh Cheese(英)
・ミルクを乳酸菌や凝乳酵素を使って固め、ホエイを排出しただけの熟成していない造り立てのチーズ
✅ソフトタイプ:Fromage à pâte molle(仏)Soft Cheese(英)
・中身が軟らかいチーズ
・白カビタイプ、ウォッシュタイプ、シェーブルタイプも軟らかいタイプはソフトタイプに分類
✅白カビタイプ:Fromage à pâte molle à croute fleurie(仏)Bloomy Rind Cheese(英)
・フランスでは白カビタイプだけでなく、酵母による自然な表皮のソフトチーズもこの分類に入る
・英語ではカビという言葉を使わず、花が咲いたという肯定的なニュアンスの単語が使用されている
✅ウォッシュタイプ:Fromage à pâte molle à croute lavée(仏)Washed Rind Cheese(英)
・ミルクの段階で、枯草菌の一種であるリネンス菌を混ぜミルクを凝固させて型に入れホエイを排出。型から出して可塩をした後、表面を塩水もしくはお酒で洗いながら熟成させたチーズ
✅シェーヴルタイプ:Fromage de chèvre(仏)Goat Cheese(英)
・山羊乳製のチーズ
・南仏とロワール川流域が名産地
・732年トゥール・ポワチエ間の戦い
・山羊の乳にはカロテンという成分がないため、真っ白い生地が特徴
✅青カビタイプ:Fromage à pâte persillée(仏)Blue Cheese(英)
・代表的な青カビ菌(ペニシリウム・ロックフォルティ)
✅非加熱圧搾タイプ/セミハードタイプ:Fromage à pâte pressée non cuite(仏)Pressed Uncooked Cheese(英)
・カードをカットして撹拌していくときに温度を40℃以上にせず製造するチーズ
✅加熱圧搾タイプ/ハードタイプ:Fromage à pâte pressée cuite(仏)Pressed Cooked Cheese(英)
・カードをカットして撹拌していくときに温度を40℃以上に上げて水分を放出させ製造するチーズ
・半加熱圧搾はカードを40℃以上50℃未満で製造するチーズ
✅パスタフィラータタイプ:Pasta filata(伊)Streched Curd/Curd Streching(英)
・モッツァレッラ、プロヴォローネ、カチョカヴァッロなど
各国の代表的なチーズと合わせて、製法を理解しましょう
また、各タイプの英語表記も近年追加となっていますので要チェックです!!
チーズに関する法律
✅1952年主要チーズ生産国8カ国が「ストレーザ協定」を締結
・フランスのA.O.C.が強化、イタリアのD.O.C.が整備
・1992年EUの品質保証システム創設
✅各品質保証マーク
【EU】P.D.O.、P.G.I.、T.S.G.、Organic Farming
【フランス】A.O.C.
【イタリア】D.O.P.
【スイス】A.O.P.、I.G.P.
チーズの保管販売サービス
✅フレッシュタイプ
・開封後、早めに使い切る
✅シュエーヴルタイプ
・ラップで覆うのは厳禁(保存中のムレ臭発生)
・乾燥気味に保管するとよい
✅ソフトタイプ(白カビタイプ&ウォッシュタイプ)
・表皮の乾燥に注意
・保存中は上下を反対向きに保管するとよい
✅青カビタイプ
・密閉した状態で長く保存しないこと
・光に弱いため保存中はアルミホイルで覆うとよい
✅非加熱圧搾タイプ&加熱圧搾タイプ
・乾燥に注意が必要
・断面にアルミホイルやクッキングシートを当ててラップに包んで保管
チーズの保管販売サービスは実践でも役に立つので覚えましょう!
各国の主要チーズ
フランス
✅2017年フランスの年間チーズ生産量は172.4万t
✅A.O.P.チーズにおける無殺菌乳製造率は75%
✅ノルマンディー地方
・緑の油田
・生乳の生産量はフランス国内生産の4割を占める
【代表的チーズ】カマンベール・ド・ノルマンディー、ヌーシャテル、サン・タンドレ
✅イル・ド・フランス地方
・フランスの島という意味
・ブリは8世紀のシャルルマーニュ大帝を始め王侯貴族、上流階級の人々に愛された
【代表的チーズ】ブリ・ド・モー
✅ロワール地方
・シェーヴルの名産地
・732年のトゥール・ポワチエ間の戦いのサラセン人の置き土産と呼ばれる
【代表的チーズ】ヴァランセ
✅シャラント・ポワトゥー地方
・トゥール・ポワチエ間の戦い以降、シェーヴルの名産地
✅ティエラッシュ地方&フランドル地方
【代表的チーズ】ミモレット
✅アルザス地方&ロレーヌ地方
【代表的チーズ】マンステール
✅シャンパーニュ地方
【代表的チーズ】シャウルス
✅ブルゴーニュ地方
【代表的チーズ】エポワス
✅フランシュ・コンテ地方(ジュラ地方)
【代表的チーズ】コンテ、モンドール
✅コート・デュ・ローヌ地方
【代表的チーズ】ピコドン
✅プロヴァンス地方
【代表的チーズ】バノン
✅オクシタニー地方
【代表的チーズ】ロックフォール
✅コルシカ島
【代表的チーズ】ブロッチュ
イタリア
✅北部は牛乳製のチーズが多い
✅カンパーニャ州では水牛モッツァレラが有名→パスタフィラータ製法
✅2018年イタリアのチーズ生産量は130万t
✅ピエモンテ州
【代表的チーズ】カステルマーニョ、ブラ
✅ロンバルディア州
【代表的チーズ】ゴルゴンゾーラ
✅エミリア・ロマーニャ州
【代表的チーズ】パルミジャーノ・レッジャーノ
✅ラツィオ州
【代表的チーズ】ペコリーノ・ロマーノ、リコッタ・ロマーナ
✅カンパーニア州
【代表的チーズ】モッツァレラ・ディ・ブーファラ・カンパーナ、カチョカヴァッロ・シラーノ
スペイン
✅ガリシア地方からバスク地方までの沿岸:「緑のスペイン」と呼ばれる
✅ガリシア州は牛乳製のチーズが多い
✅バスク地方は羊乳製のチーズが多い
✅ラ・マンチャ地方はスペインを代表する羊乳製チーズの産地→ケソ・マンチェゴ
ポルトガル
✅本土では伝統的に植物由来の酵素を使った羊乳製チーズが多く生産される
✅ポルトガルの代表的チーズ「ケイジョ・セーラ・ダ・エストレーラ」
ベルギー
✅1830年にオランダから独立
✅A.O.P.に認定されたチーズは唯一「フロマージュ・ド・エルヴ」
オランダ
✅オランダのチーズの主力はゴーダとエダム
ドイツ
✅チーズ生産量が米国に次ぐ2位を誇る
オーストリア
✅オーガニック認証を受けたチーズが多く造られている
✅山のチーズと呼ばれるベルクケーゼやアルプスのチーズと呼ばれるアルプ(アルム)ケーゼが有名
英国
✅伝統的なチェダーチーズ
✅原産地で造られているチーズが少ないのが特徴
ギリシャ
✅フェタが有名
スイス
✅山のチーズといわれる大型のチーズ、グリュイエールやエメンターラーの産地として有名
日本
✅チーズ総消費量は、この10年で6万t、120%の増加
✅全国チーズ工房の数は2020年度で332工房(2006年度と比較し3倍以上に増加)→約半数は北海道
✅2021年度国民1人当りのチーズ消費量は2.8kg
✅チーズの地理的表示はないが、十勝のブランドがG.I.申請手続きを終え、チーズの地理的表示認定第1号を目指している
✅大手乳業者を除くチーズ工房のうち、約80%の工房でフレッシュタイプを製造
各国の特徴と代表的なチーズは頭に入れましょう!
代表的なチーズについては、その製法、乳種も覚えましょう!
また、日本の状況についても 更新されていますので、内容は押さえておきましょう!!
料理とワインの相性(ペアリング)
✅日本ではマリアージュと呼ばれることが多い
✅フランスではラコール(協調)またはアルモニー(調和)と呼ばれることが多い
良いペアリングとは
✅料理を引き立てている
✅料理と楽しむことでワインの可能性が広がる
✅店の独自性(魅力)となっている
ペアリングのパターン
✅双方の強弱、風味を合わせる
・料理の強弱にあわせて、ワインを組み合わせる
✅相反する個性の組み合わせ
・辛い料理に甘いワイン、複雑な料理にシンプルなワインなど相反する組み合わせ
✅郷土料理にその土地のワイン
・料理もワインも、同じ生産地・生産国のものを合わせる
考慮すべき要素
✅料理の格
・キュルノンスキーの分類:「家庭料理」「郷土料理」「高級料理」
・料理の格にあわせてワインもグレードアップしていく
✅季節感
・料理だけでなくワインも季節感を演出する
✅テクニカル(化学的)
・食材の成分を注視してワインを選ぶ
✅ストーリー
・ワインのストーリーと料理のストーリーを合わせる(つなげる)
料理を解析する
✅良いペアリングのために、「どんな料理か」をより深く知ることが重要
主食材
①大きさ
・大きい食材には強さのあるワイン
②脂質
・脂の多いものには、味わいに厚みのあるもの、なめらかな酸味(マロラクティック発酵)もポイント
③身質
・租借時間を考慮した味わいのワイン
・ワインの口中での広がり具合、ボディの厚みや骨格、余韻の長さを合わせる
加熱法
①蒸す:率直で繊細なタイプのワイン
②ゆでる:サラリとしたワイン
③焼く
・ソテー(フライパンで焼く):良く熟した果実味のなめらかな味わいのワイン
・グリル(網で焼く):凝縮感のあるがっしりとした骨格のワイン。炭火焼の場合は、木樽の香りと土っぽさや枯葉などの複雑性のあるワイン
・ロースト(オーブンで焼く):風味の豊かさがありながら、ジューシーなワイン
・蒸し焼き:ローストと同様だが、より柔らかさのあるワイン
④煮る:複雑性があり、味わいはソフトで、円熟したもの。熟成感のある伝統的なスタイルのワイン
⑤燻す:スモーキーな風味で木樽を使ったワイン
味付け
✅油脂
・乳製品系(バター、クリームなど)
・植物系(オリーブオイル、菜種油など)
・ナッツ系(クルミ、ピーナッツなど)
・動物系(ラード、鴨脂など)
✅調味料
・スパイス(スイート、パンジェント、ベイキング、エスニック)
・ハーブ(フレッシュ、セイヴォリー、ドライ)
・ヴィネガー(穀物系、フルーツ系、ワイン系)
・アルコール(ワイン、シェリー、マディラ、ヴェルモット、日本酒、みりん、紹興酒など)
・発酵調味料(醤油、味噌、魚醤、塩麹など)
付け合わせ
✅主食材との相性が良く、料理の風味を相乗させる
・仔羊とナス・ズッキーニ(ラタトゥイエ)
・鶏肉とトマト
・蟹とアボカド
✅主食材の風味を中和する
・豚肉にパイナップル
・牡蠣とほうれん草
✅料理に季節感を与える
・アスパラガスや豆腐→春らしい
・キノコ→秋らしい
✅料理に地方色をつける
・仔羊にカブや春野菜→ナヴァラン(南仏)
・牛肉にエシャロット→ボルドレーズ
・鶏肉に赤とグリーンのピーマン→バスク風
✅料理により価値を加える
・キャヴィア、トリュフ、ウニ、カラスミ、イクラ
✅料理に彩りを付ける
・ペアリングにおいては副食材、彩り、飾りに添えてある食材にも注意が必要
ペアリングコース
✅料理一皿に1種のワインを合わせる
✅注意点
・ワインをより正確な温度、適切なグラスで提供する
・きちんとプレゼンテーションする
・料理の前に提供する(料理の1分ないし1分30秒ほど前が最適)
・お客様が召し上がられる酒量を配慮する
・様々なパターンで構成する
・ハイライトになるペアリングから考える
・かぶり、類似するワインが続かないよう注意する
・料理とワイン以外の要素にも目を向ける
・試食(ペアリングチェック)する
ペアリングは今期追加項目です!ただ、ペアリングは個人個人によって趣味嗜好が異なるためテキストに出てくる例示はそれほど重要ではないかもしれません。
それよりも用語や普遍的な概念などを中心に押さえておきましょう!
ワインの購入・保管・熟成・販売
ワインの購入
✅プリムール取引
・ボルドーの特殊な取引
・ユニオン・デ・グラン・クリュが大規模な試飲会を実施し価格を設定
・収穫された翌年の春に実施
・購入した年の7月から翌年の2月までに支払いを完了
✅ワインに使用することができる添加物と使用限度量
・亜硫酸塩:0.35g/kg未満(酸化防止剤)
・ソルビン酸:0.2g/kg以下(保存料)
・二炭酸ジメチル(商品名Velcorin®):0.20g/kg(殺菌料)
・L-アスコルビン酸(ビタミンC、酸化防止剤):限度量の定めなし
・アラビアガム(アカシア):限度量の定めなし
✅貿易条件(輸入取引条件)
・EXW=Ex Works(工場渡し条件):「蔵出し」生産者のセラーで引き渡し
・FCA=Free Carrier(運送人渡条件):輸出地の指定場所で引き渡し
・FOB=Free On Board(本船渡し条件):輸出港で船舶に貨物を積み込むまで
・CFR(C&F)=Cost and Freight(運賃込条件):輸入港までの運賃込みの条件
・CIF=Cost, Insurance and Freight(運賃・保険料込条件):輸入港までの運賃と保険料込
✅出荷・輸送(運賃の定め方)
・M 容量建て:縦×横×高さ(M3)
・W 重量建て:メトリックトン=1000kg
・M/W 容量か重量か、どちらか大きい方を選択
✅輸入貿易実務 船積み書類
①インボイス:生産者が作成する納品書兼請求書
②B/L(Bill of Lading、船荷証券):貨物が船会社に引き渡された際に発行する有価証券
③分析証明書
④パッキングリスト(P/L=梱包明細書)
⑤貨物海上保険証券
✅通関
①直輸入通関(IC):輸入後ただちに国内販売するために納税し内国貨物とする
②保税倉庫倉入れ通関(IS):貨物を保税蔵置場に入れ、すぐには納税しない
③保税倉庫倉出し輸入通関(ISW):②の貨物に対し納税し内国貨物とする
✅ボトルステッカー
・義務表示(未成年者の飲酒防止の表示、その他10項目)
・任意表示(妊産婦の飲酒に対する注意表示、有機などの表示)
ワインの購入のパートは見慣れない用語が多く覚えにくいですが、問われる箇所は限定されていますので、何度も問題を解いて覚えるようにしましょう!
ワインの保管・熟成
✅熟成させる保管
①温度:12〜15℃
②湿度:70〜75%
③照明:白熱電灯
④振動:避ける
⑤送風:冷気が直接ワインに当たらないように配慮
⑥臭気:異臭のあるものと一緒に保管しない
⑦ボトルの保管:コルクのものはラベルは上に向けて横に寝かせる(スクリューキャップのものは正立で可)
✅熟成スピードを左右する要素(以下の要素が高ければ高いほど熟成スピード遅くなる)
①有機酸の量
②アントシアン、フラボノイド、タンニンなどのポリフェノール類の量
③残存糖分の量
④アルコール度数
⑤グリセリンなど糖以外のエキス分の量
⑥遊離亜硫酸の量
販売
✅「消費税総額表示」が2021年4月1日より義務化
✅売上と利益、計算管理
・利益=月のワイン売上ー仕入原価(売れたワインの仕入値合計)
・原価率=当月の原価÷売上金額
・粗利益率=100%ー原価率%
・販売以外で減った在庫(破損など)は売上原価に含めてはならない
・損益分岐売上=固定費÷粗利益率
✅成人1人当たりのワイン消費量:3.40リットル(2020年)
✅主要国別・スティルワインの輸入状況
・数量 1位:フランス、2位:チリ、3位:イタリア
・価格 1位:フランス、2位:イタリア、3位:チリ
✅主要国別・スパークリングワインの輸入状況
・数量 1位:フランス、2位:スペイン、3位:イタリア
・価格 1位:フランス、2位:スペイン、3位:イタリア
原価率は実際に計算問題が出題されることもあるので、具体的な数字から計算できるように練習しておきましょう!
また、スティルワインの国別輸入状況は昨年度と1位、2位が入れ替わっています
ソムリエの職責とサービス実技
✅温度が与える味わいの違い
【温度を下げた場合】
①フレッシュ感が際立つ
②果実香など第一アロマが際立つ
③(ワインによっては)第二アロマが際立つ
④味わいがドライな印象となる
⑤酸味がよりシャープになる
⑥バランスがよりスマートになる
⑦苦味、渋みが強く感じられる
【温度を上げた場合】
①香りの広がりが大きくなる
②熟成感、複雑性が高まる
③甘味が強くなる
④酸味が柔らかくなる
⑤ふくよかなバランスとなる
⑥繊細さが抑えられる
⑦苦味、渋みがより快適な印象となる
✅空気接触(開栓後)の効果
①還元による影響が弱まる
②第一アロマが上がる
③第二アロマが下がる
④樽香が強まる
⑤複雑性が強まる
⑥味わいの広がり、ふくよかさが強調され、全体のバランスがとれる
⑦渋みが心地よい印象となる(タンニンの量は変化しない)
温度の効果と空気接触の効果については頻出ですので覚えましょう!
✅ワインの供出温度
・シャンパーニュ(スタンダード):6〜8℃
・白ワイン(辛口):6〜12℃、(甘口):6~8℃
・ロゼワイン(辛口):8〜10℃
・赤ワイン(軽口):12〜14℃、(ブルゴーニュ):16〜18℃、(ボルドー)18〜20℃
・ヴィンテージポート:18〜20℃
✅食前酒(アペリティフ)の役割
・食欲を増進させるとともに、消化も促進させる
・酸味や苦味を含んだもの、甘みが抑えられているもの、アルコール分が比較的低いもの
・辛口シャンパーニュ、ドライシェリー、ヴェルモット、デュボネ、VDN、VDL
✅食後酒(ディジェスティフ)の役割
・脂肪を溶かして消化を助け、翌朝、胃に残らないようにすること
・アルコール分が高くても良い
・食後の口直しとなり、食後の余韻を楽しめるような酒
・甘口シャンパーニュ、甘口シェリー、ポート、マデイラ、VDL、VDN
✅シャンパーニュのボトルサイズ
・1/2本分「Demi-Bouteille」
・1本分「Bouteille」
・2本分「Magnum」
・4本分「Jéroboam」
・6本分「Réhoboam」
・8本分「Mathusalem」
・12本分「Salmanazar」
・16本分「Balthazar」
・20本分「Nabuchodonosor」
✅ボルドーのボトルサイズ
・1/2本、1本、2本はシャンパーニュと同じ
・4本分「Double-magnum」
・6本分「Jéroboam」
・8本分「Impérial」
ボトルサイズの名称はよく出題されます!「ジェロボアム」が間違いやすいので注意!
1本分「プティユ」や1/2本分も押さえておきましょう!
✅その他の用語、単位
・1ヘクタール=100m×100m
・1トノー=900L=1,200本
・1ヘクトリットル=100L
✅ワインの温度に関する用語
・ジュレ(凍った、冷やした)0℃に近いあるいはそれ以下
・フラッペ(氷水で冷やした)4〜6℃
・シャンブレ(室温にした)16〜18℃
テイスティング、チーズ、ペアリング、ワインの購入など、ソムリエの職責など 予想問題
理解度の確認のため、10問全問正解するまで帰れま10にチャレンジしてみましょう!
10問全問正解するまで何度もチャレンジしてみてください。問題には教本の該当ページを記載してありますので、間違った問題や解答に迷った問題は、都度教本に戻って復習してみてください。
コメント